庭園日誌をご覧のみなさま、こんにちは。
スタッフの【川瀬】です。

いよいよ春も本番。家庭菜園をされている方々にとっては、
春蒔きの種を蒔き始めるシーズンがやってきたところですね。

種まき

今回ご紹介するのは、その種についてのお話です。
知っておくと、種蒔きのときに役立つかも?

ぜひ最後までお付き合いください。

種が発芽する仕組み ~基本の三要素~

種が発芽するのに必要な条件とは、何でしょう?


・・・答えは、「酸素」「水」「温度」の三つです!
学校で習ったことがある方も多いのではないでしょうか。

「酸素」 ・・・呼吸によって、種に貯めた養分をエネルギーに変えるために必要
「水」 ・・・植物体内の化学反応のために必要
「温度」 ・・・植物にとって重要な酵素が、適切に働くような温度が必要

もう一つの要素、光

発芽に必要な三要素を見て、あれ?と思われたかもしれませんが、
「光」は必ずしも必要ではありません。

発芽のためのエネルギーには、種に貯めてあった養分を使います。
つまり、成長した植物のように光からエネルギーをもらわなくても大丈夫なんです。


ただし、発芽に光を必要とする植物も、実は存在します。
光発芽種子」といい、レタスやニンジン、ミツバなどがそうです。

彼らの種は休眠していて、光が当たらない限りその休眠は終わりません。

どうしてわざわざそんなことをするのかというと、理由は簡単、
明るくて育ちやすい環境を狙って発芽したいからです。

でも一体、人間のように目を持っているわけではないのに、
種はどうやって光を感じるのでしょうね?

種が光を感じるしくみ

種が光を感じられるのは、ずばり「フィトクロム」というタンパク質のおかげです。


フィトクロムにはPr型赤色光吸収型)とPfr型遠赤色光吸収型)があり、
受ける赤色光と遠赤色光の割合によって、型が変化します。

赤色光と遠赤色光


太陽の光は、目に見える成分(可視光線)と、見えない成分(紫外線、赤外線など)を含んでいる。
植物が光合成によく利用するのは、目に見える赤色~青色の光。
一方、見えない成分である遠赤色光は、植物に利用されない。


では、種の目線に立って考えてみます。

太陽光が他の植物に遮られているとき、 赤色光はすでに頭上の植物に利用されてしまっているので、
種のもとに届く光は遠赤色光の割合が高くなります。(Pfr型Pr型に変化)

太陽光を遮るものがないとき、 赤色光、遠赤色光の両方がそのまま届くことになるので、
相対的に赤色光の割合が高くなります。(Pr型Pfr型に変化)

フィトクロムの変化

図にあるように、光が多い好条件が続くと、Pfr型になったフィトクロムによって
発芽を促すジベレリンが合成され、種の休眠が破られるのです。

こうして、上に光を遮るライバルがいない快適な環境のもとで
発芽することができるというわけです。

"日陰者"の種も

上でご紹介した「光発芽種子」以外の種は、逆に光によって発芽が抑制される「暗発芽種子」や、
光の有無に関係なく発芽する「光中性発芽種子」に分類されます。

暗発芽種子」として有名なのは、キュウリ、カボチャ、タマネギなどです。

園芸の場面では


光発芽種子・・・薄暗い場所で栽培したり、土を厚くかけ過ぎると発芽しにくくなる。

暗発芽種子・・・種をまいたあとは、種が隠れるように確実に土をかける必要がある。


Check!

「酸素」,「水」,「温度」に加えて、「光」を必要とする種もある。
それらの種はフィトクロムを使って光を感じ、発芽のタイミングを
うまく調節している!



種が発芽するしくみ、いかがだったでしょうか。
あんな小さな粒の中にも、植物の色んな工夫が詰め込まれているのですね。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

<参考>
「日本植物生理学会 みんなのひろば “植物が光を感じる仕組み”」(最終閲覧:2017/3/22)
URL:https://jspp.org/hiroba/essay/nagatani.html
「変わり種工房 “種子の発芽と休眠に関わる植物生理”」(最終閲覧:2017/3/22)
URL:https://kawaridane-kobo-tuat.jimdo.com/活動内容/変わり種講義録/


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