庭園日誌をご覧のみなさま、こんにちは。
スタッフの【川瀬】です。
以前の記事で、植物ホルモンについてご紹介しました。
その中から、この記事では代表的な植物ホルモンである
オーキシンについてご紹介します。
オーキシンは植物ホルモンの中でも非常に重要な作用を持っていて、
植物の成長に大きく関わります。
それでは、植物の生活を縁の下で支える彼らのはたらきを見てみましょう!
知っておきたい!植物ホルモンの定義って
本題に入る前に、少し前回の記事の補足です。
植物ホルモンは、実はそれほど種類が多くありません。
特に有名なのは【オーキシン】、【サイトカイニン】、【ジベレリン】、
【アブシジン酸】、【エチレン】の5つで、
その他に数種類が知られている程度です。
これなら頑張れば覚えられそうですね!!!
さらに重要なのが、【オーキシン】や【サイトカイニン】は
“植物ホルモンの名前”であって、“化学物質の名前”ではないということ。
植物ホルモン【オーキシン】として働く物質は複数あり、
一つ一つが異なる構造を持つ別の化学物質なのです。
オーキシン ~はじまりの植物ホルモン~
主な働き
細胞の伸長を促す(屈性)、頂芽優勢を維持する、根を形成する etc...

オーキシンは茎や根の成長をコントロールする代表的な植物ホルモンの一つで、
名前はギリシャ語で「成長」を意味するauxieが語源となっています。
その名の通り、植物が上へ上へと伸びるのは、
茎の先にある芽(頂芽)がオーキシンを出しているおかげです。
さらに、植物が光のある方向へ伸びるためにも、
オーキシンは欠かせません。
→関連記事 「葉先が太陽に向かって育つわけ」
このオーキシン、
歴史上一番はじめに発見された植物ホルモンとしてもよく知られています。
いわば、元祖・植物ホルモン。
植物にとっても人にとっても、重要な存在なんです!
合成オーキシンあれこれ
自然界で植物が作っている「天然オーキシン」に対し、人工の「合成オーキシン」も存在します。
合成オーキシンの代表例が、
ナスやトマトの収穫量を増やす効果のある「トマトトーン」です。


一方、合成オーキシンはベトナム戦争の際に
枯葉剤として使用されたことでも有名です。
植物を成長させるオーキシンがなぜ?と
疑問に思われるかもしれません。
実は、オーキシンの作用が強力すぎると
植物を逆に混乱させてしまい、枯死を招くのです。

ちなみに、枯葉剤が引き起こした健康被害はオーキシンのせいではなく、
オーキシンを合成する際の副産物であるダイオキシンによるものでした。

このような経緯から、
今は除草剤としてのオーキシンの利用はほとんどありません。
オーキシンは、なかなかに奥深い歴史を持っているんですね。
まとめ
Check!
オーキシンは、植物の成長のために欠かせない植物ホルモン。
使い方次第で、成長剤にも除草剤にもなる!
他の植物ホルモン達についても、
機会があればご紹介する予定です!
サイトカイニン & ジベレリン編
アブシジン酸 & エチレン編
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
「植物の体の中では何が起こっているのか」嶋田幸久・萱原正嗣 著, ベレ出版, 2015年
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