庭園日誌をご覧のみなさま、こんにちは。
スタッフの【ベーちゃん】です。

今回は、赤い生け垣の正体、
カナメモチについてご紹介していきます。

カナメモチとは?

カナメモチはバラ科に属する
常緑の小高木で
一般の家庭でも生垣などに利用されており
よく見かけることのある植物ですね。

カナメモチ3

もともとは赤い芽をだすことから
アカメモチと呼ばれていましたが
それがなまって現在の
カナメモチになったと
言われています。

カナメモチの特徴


カナメモチは春先になると新しい葉を出します。
一般的に新葉というと緑色の葉っぱを思い浮かべる人が多いと思いますが、
カナメモチの新葉は赤いのです。
カナメモチ1

また、5~6月になると
ソバの花に似たような小さな白い花を多数咲かせます。
果実は直径5mmほどの赤い実をつけます。
カナメモチ2


カナメモチの園芸品種

現在多くの生け垣で利用されているのが
「レッド・ロビン」
と呼ばれる園芸品種です。

この種は、
カナメモチ
カナメモチよりも大型の葉を持つ
オオカナメモチの交雑種です。

この「レッド・ロビン」の特徴としては
新芽の赤色が濃くて美しく
生育旺盛であるということが
挙げられます。

そのため、家の生け垣や公園などに
多く用いられるのです。

春先に葉が赤くなる植物

カナメモチは春先になると
赤い新葉を出しますが
他にも春先に新芽や新葉が赤くなる
植物が存在します。

春に紅葉?する植物


実はカナメモチ以外にも
多くの植物が春に赤い葉を出します。

クスノキ、モッコク、アカメガシワ、ケヤキ、ヤマザクラ、クスノキ
などがその例です。
これらの植物のように葉が赤くなる植物は
特定の分類群や、常緑か落葉かなどの共通点があるわけではありません。
(下の写真はヤマザクラ)
ヤマザクラ_カナメモチ


新葉が赤くなるのはなぜ?

ではどうしてカナメモチのように
特定の植物は赤い新芽・新葉を
持つのでしょうか?

とそのまえに・・・
赤い葉っぱといえば多くの人が
秋の紅葉を連想するでしょう。
確かに春の葉も秋の葉も
共に「アントシアニン」という物質を蓄積しており
これが赤く見えるという点で
共通していますが
その生成のメカニズムが異なります。
詳しくはこちらを御覧ください。


本題に戻って、
なぜカナメモチは赤い葉をつけるか
言い換えると
なぜアントシアニンという物質を蓄積しているか
ということですが
結論から言うと・・・


まだはっきりとしたことはわかっていません。
しかし考えられる説がいくつか挙げられています。

1.「紫外線等の光からの保護」説
新芽や新葉などは
まだ紫外線などの外部からの刺激に対して
十分な保護機能を持っておらず
アントシアニンが葉の細胞を
有害な光から守っているという説です。

2.「食害する生物から隠蔽する」説
アントシアニンで満たされた葉は草食の無脊椎動物(イモムシなど)
に対して、枯れているように見せる効果がある
という説です。


いずれにしてもこれらの説に共通するように
カナメモチなどの葉が赤くなるのは、
何らかの外敵要因から
弱くて無防備な新芽・新葉を守る手段

であると考えられている

ということでした。

長くなりましたが、
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。



<参考・引用>
宮内 泰之(2011)「カナメモチ」
〈https://keisen.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=950&item_no=1&page_id=28&block_id=68〉2019年5月16日アクセス
「カナメモチなどの若葉の赤色化について」
〈https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=3516〉2019年5月16日アクセス
松谷茂(2011)「春の赤い葉 秋の赤い葉」
〈https://www.nacsj.or.jp/archive/files/katsudo/kansatsu/pdf/No524-kyoukarahajimeru-syuusei.pdf〉2019年5月16日アクセス
林弥栄編(1985)「日本の樹木」山と渓谷社.



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