庭園日誌をご覧のみなさま、こんにちは。
スタッフの【べーちゃん】です。

今回は樹木が腐るしくみについて
ご紹介していきます。

樹木が腐るしくみ

樹木や木材が腐る現象は、材質腐朽病や腐朽病害と呼ばれています。

樹木が腐るとはズバリ
樹木の組織が分解されることです。

分解されるとボロボロになっていき
場合によっては倒れたり、枯死したりしてしまいます。

倒木


では、
どのようにして樹木が腐るのか
という事を説明する前に、
まずは 樹木の基本的な構造について
ご紹介していきたいと思います。

樹木の構造① ~幹の断面図~ 

実は幹において
樹木の生きている部分は
外側の辺材と呼ばれる
わずかな部分のみ!

心材と呼ばれる中央部分は
死んでしまった細胞から構成されます。

しかし
これらの死んでしまった細胞は
樹木の大きな体を支える
という重要な役割を果たしているのです。

幹の断面図 樹木断面イメージ図

樹木の構造② ~細胞壁~ 

では次に、もっと細かいレベルで
樹木を見ていきます。

あらゆる生き物の構成単位は細胞です。
その中で私たち人間などの動物と
樹木などの植物との大きな違いのひとつに
細胞壁があります。

樹木などの植物には細胞壁が存在しており
細胞を包んで、細胞を支える働きをしています。

その細胞壁の主な構成要素が
セルロースヘミセルロースリグニンです。

これらは分解されにくく、
特にリグニンはとても複雑な構造をしています。
これらの複雑な構造を持つことによって
樹木は様々な外敵から身を守ろうとしているのです。

どうして木が腐るのか?

先ほどご紹介したように
樹木の細胞壁は分解されにくい構造を持っていますが、
これを分解することができる
生物が存在するのです。

それが木材腐朽菌です。


木材腐朽菌


木材腐朽菌は大きく2種類存在します。
白色腐朽菌褐色腐朽菌です。
白色腐朽菌はセルロース、ヘミセルロースに加えて
リグニンの分解も行うことができます
腐朽した材は白色化し、徐々に強度の低下が起こります。

一方、褐色腐朽菌はリグニンの分解能は高くありません。
しかし腐朽した材は褐色になり、強度の低下が急速に起こります。

また腐朽がどのような形態で発生するかや
どの部位で起こるか(心材or辺材、枝or幹or根株)
などによって、腐朽の呼び方が変わってきます。


もし辺材部(生きている部分)が腐朽すると
直接樹木の枯死につながる場合もありますし、
心材部での腐朽だとしても
内部の腐朽の発見は困難で、
発見時には腐朽がかなり進んでしまってることが多いようです。

また、生きている樹木だけでなく
木材にも起こる現象であり、
いずれにしても
腐朽はとても厄介なものですね…


そのほか

どうやって菌は侵入するの?
大部分は枝や幹の傷口や、鳥や虫によって傷つけられた場所から侵入します。
ごくわずかな腐朽菌だけが、傷が無くても侵入することができます。


どうやって防ぐの?
上記のように、多くの腐朽菌は傷口などから侵入します。
また弱っていると腐朽が進行しやすくなります。
なので、
例えば、剪定後に適切な処理をすることや
無理な移植など樹木が衰弱するような処置を避けることなど
適切な管理が大切なようです。
また、菌が繁殖するためには、酸素が必要で
これらを断つことも有効なようです。


サルノコシカケ
皆さん、サルノコシカケはご存知でしょうか?

幹から突き出して生えている様子が
まるでサルがコシカケるのにちょうどよいように見える
キノコの仲間の総称ですが、
これらも木材腐朽菌の
一種です。

サルノコシカケ

さいごに

もしお庭の樹木のことなどで
お悩みがありましたら
ぜひご相談下さい!

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。



<参考・引用>
(一社)日本樹木医会(2010):樹木医必携・基礎編:日本樹木医会,446pp
(財)日本緑化センター(2006):最新樹木医の手引き 改訂3版:日本緑化センター,559pp


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