~大幸造園からのお知らせ~

この度当社ブログ・Instagramの担当に2名!のスタッフが新たに加入しました~
新スタッフと共により充実したみどりの知識をお届けできるようスタッフ一同努めて参ります。今後とも大幸造園をよろしくお願いいたします。

今回、加入したお二方に同一のお題での記事をそれぞれ書いてもらいました。「竹はなぜ寒さに弱いのか?」私たち植木屋が造園の材料としてよく使用する竹は寒さで枯れてしまうことが多いのですが、それがなぜなのか?という内容をブログ記事にして頂きました。同じテーマではあるものの全く違った視点からのアプローチとなり驚き!二人の個性の違いが見てとれる記事となりました。

まず一人目、はやしさんによる「竹が寒さに弱いのはなぜ?」
丁寧に文献を読み込みわかりやすく構成して下さいました。真面目な人柄がうかがえる力作をご覧ください!

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庭園日誌をご覧のみなさま、こんにちは。
スタッフの【はやし】です。

竹は古くから食用としてだけでなく、その成長の速さ・頑丈さから、
造園はもちろん、建築・工芸にまで利用されてきました。

今回は、そんな竹についてご紹介していきます。

竹は寒さに弱い?

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              図Ⅰ 竹林

竹はイネ科タケ亜科に属する常緑性の多年生植物です。
竹には草のような特徴も樹木のような特徴もあり、
草とも木とも異なる生態を持っています。

まずは、その特徴を少しご紹介しましょう。

竹の特徴

竹構造
地下茎の節にある芽から毎年タケノコが生じ、半年ほどで若竹に成長します。樹木で幹に当たる部分を「稈(かん)」と呼ぶらしいのですが、稈には節があり、中は空洞になっているのが特徴だそうです。著しく成長する稈同様、地下茎も横にぐんぐん伸びていきます。竹は繁殖力が強く、なんと最大で1年に5~8メートルも地下茎が伸びた記録があるほどなのです!
また日本に生育してきた歴史が長く、一年を通して私たち日本人と密接に関わりのある竹は、もはや日本人の生活や文化に欠かせない植物ともいえます。
図Ⅱ (BOTANICALS 植物のつくり 基本編より)

しかし、こんな竹にも弱点があるのをご存知でしたか?

それはなんと、寒さです。

落葉樹の移植はよほど寒くない限り可能なのに対し、
竹は移植の際11月から3月までは、
植えられている畑から掘り起こしてお庭に植えようとしても、
枯れる確率が高いのです。
だから、竹は通常暖かくなるのを待ってから植えます。

それにしても、なぜ竹は寒さに弱いのでしょうか?
早速その理由に迫っていきましょう。

竹の自生地

竹が寒さに弱い理由、それはズバリ自生地にあります。
下の生育域の分布図にも示されるように、
竹は元々南方系の植物なのです。
竹の自生地

自生地 竹
日本に生育するタケ類・ササ類の植物は約130種類、そのうちタケ類は20種、変種・品種も含めると約50種だと言われています。竹の生育域には日本やアジア圏を思い浮かべますが、竹は世界にも約1300種があります。自生の分布の中心は東南アジアと中南米で、広くはオーストラリアやアフリカといった温暖で湿潤な地域に分布しています。なんと、日本の竹は世界の中でも北端に位置しているのです。(因みに、国内の竹の中には生育域の北限が青森か函館のものもあります。)
図Ⅲ (竹虎(株)山岸竹材店 ホームページより)

植物は、自生地の気候に合わせて進化します。
そのため、一般に

寒い地方に自生する植物→寒さに強い
暑い地方で自生する植物→暑さに強い


という性質を持ちます。
これは植物の持っている基本的な性質で、
種類によって大体の特性が決まっています。

これを踏まえると、竹は

自生地の気温と湿度が高いために、元々寒さと乾燥に弱い

ということが分かります。
では、この寒さへの耐性は何を基準にして決まるのでしょうか?
その基準には植物が凍りにくくなる仕組み、

耐凍性(たいとうせい)

が大きく関わっています。

植物が凍りにくくなる仕組み

耐凍性とは、

体内の凍結を回避する、あるいは凍結しても生きられる植物の能力
のことです。

植物はこの耐凍性の仕組みによって、
細胞の内部が凍ってしまうことを防いでいます。

一般的に、あまり寒さに触れていない植物が
急に極端な低温にあうと枯れてしまいます。

これは寒さに対する準備、つまり
耐凍性を得るための冬支度
ができていないために起こります。

植物の冬支度

植物の冬支度は、秋~冬の穏やかな低温を感知することから始まります。
そして植物は、細胞内に
糖類  アミノ酸  タンパク質
などを蓄え、徐々に凍りにくい体へと変化していきます。
というのも、糖などがたくさん溶けていればいるほど、
植物内の水は凍りにくくなるのです。

この糖を蓄える冬支度のことを、

低温馴化(ていおんじゅんか)

といいます。
植物はこの冬支度を経て耐凍性を獲得し、
凍りにくい体を手に入れることが出来るのです。

しかし、竹は冬の移植の際
寒さによりダメージを受ける事で
枯れてしまいます。

これまでのことを踏まえると、これは

植物が凍りにくくなる能力である耐凍性が十分でない

ことが原因だといえます。

余談ですが…。
なんと、ホウレンソウの甘さも
これに関わっているといいます。
少しご紹介しますね。

ホウレンソウの甘さと耐凍性

hourensou
冬に葉を広げるホウレンソウは甘く美味しくなります。これは細胞の中に糖類などを蓄えているから で、ホウレンソウが低温を耐え抜くのにも役立っていると考えられています。 図Ⅳ ホウレンソウ


植物が凍りにくくなる仕組み

ここまで、
①竹が寒さに弱い理由
②植物の寒さへの耐性の基準とその仕組み

を見てきました。

一般的に、
暖かい地域に自生する植物は、寒い地域に自生する植物に比べて耐凍性が低い
傾向にあります。
また、
常緑広葉樹は温帯落葉樹より耐凍性が低い
と言われています。
竹は、

暖かい地域に自生し、且つ常緑性の植物

です。
つまり、
①竹が寒さに弱いのは暖かい地域が自生地だから
であり、その弱さの原因は、
植物が凍りにくくなる仕組みの不十分さ
にあるといえるのです。

日々の生活で身近に感じられる竹。
その秘密に迫ることで、
さらに興味を持っていただけたならば幸いです。

長くなりましたが、
最後に、
もしお庭の樹木のことで
お悩みがありましたら
ぜひご相談下さい!
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。



<参考・引用>
酒井昭 (1967) 『化学と生物』5巻2号「植物の耐凍性」 pp.73-79
酒井昭(1978)『低温科學』 生物篇 35「日本の常緑及び落葉広葉樹の耐凍性」pp.15-43
公益財団法人国際高等研究所(2018)「日本文化創出を考える」研究会 2018年度報告書
保谷彰彦 (2020)「冬に植物は凍らないの? 植物が寒さを生き延びるしくみ」Bun-ichi Nature Web Magazine 2月7日(https://buna.info/)
丸尾達(2020)「寒さに強い植物と弱い植物は何が違うの?」子供の科学のウェブサイトKoKaNet 10月27日(https://www.kodomonokagaku.com/read/hatena/5108/)
農林水産省(2021)agriculture forestry fisheries 3月号 通巻604号「はじめよう、竹のある暮らし」
  農林水産省「竹のおはなし」(https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1301/spe1_02.html)
竹虎(株)山岸竹材店 ホームページ 「竹について」
(https://www.taketora.co.jp/c/special/bamboo)
BOTANICALS 植物のつくり 基本編
(http://botanicals.sakura.ne.jp/wp/%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88/)




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