庭園日誌をご覧の皆様、こんにちは!

スタッフの【はやし】です。



果物がおいしい季節になってきました。
普段見かけるイチゴやモモ、オレンジ・・・🍓🍑🍊
どんなふうにして大きくなるのか気になったことはありませんか?


今回は、果実の成長と成熟の過程を一緒に追っていきましょう。


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果実の種類




一般的に、植物において
受粉や受精がおわると、花の器官の大部分は委縮して落ちます。
そこで落ちずに残った一部が、次に命をつなぐ果実の部分となります。


花の構造

図のように、通常雌しべの基部にある「子房」果実に、
子房の中にある「胚珠」種子に、
それぞれ発達します。


①真果



植物の果実は環境によって生殖戦略が違っているために、形もさまざまです。
生殖器官としての花も同様に、いろんな形をしていますよね。
果実は主に「真果」「偽果」という二種類に分類できます。
カキ・モモ・ウメはこのように様々な種類がある果実の中でも、
雌しべの子房の部分が肥大したもので、
「真果」と言われます。


ネクタリン

※真果の一例。中心には硬い種が。(ネクタリン)

「真果」とは、受精後に種子の形成とともに子房だけが発育してできた果実のことです。




真果は中心に種子を持っていて、それを中心に子房の壁が発育した果皮からできています。





果実図解

果実を見てみると、図解の通り、
表面の薄くて強靭な皮が「外果皮」
その内側の食べられる果肉は「中果皮」
そしてさらに内側の固い部分が「内果皮」
・・・と、入れ子構造になっているのが分かります。




②偽果


一方、イチゴやイチジク、ナシなどは「偽果(ぎか)」と呼ばれる種類に入ります。


「偽果」は、花托(かたく)・萼(がく)・総苞(そうほう)など子房以外の部分が、子房とともに生長・肥大してできた果実です。




*POINT
じつはイチゴの種と呼ばれている部分は実で、赤い部分は、花の付け根の部分(花托)が発達したものなんです!



果実が熟すまで




果実の種類としくみに目を通したところで、次は果実がどのようにして成長・成熟していくのか
見ていきましょう。


ウメなどの「真果」同様、イチゴなどの「偽果」にも種子はあります。



そもそも、植物が実をつくるのは
動物に運んでもらって、離れた所で食べてもらうことで
その種を飛び散らせたり、糞に紛れさせたりして、殖えるためです。





実を食べてもらうときにが無ければ元も子もありません。
そのため、必ず次世代を生み出す種は存在しますし、
種が無くてはおいしい実はならないといいます。



例えば、イチゴは中に含まれる種が多ければ多いほど実が大きくなります。
イチゴ


これは、イチゴの種から実を大きく肥大させる物質
「オーキシン」が出ているためだそうです。
果実は、この「オーキシン」の作用によって大きくなると言われています。
→オーキシンについては、過去の記事にも詳しい説明があるので、ぜひ読んでみてくださいね!


オーキシンとは植物ホルモンの一つで、
これまでの研究でも、その植物への作用は極めて多様だと言われています。



オーキシンは植物の発生・発芽・生長や花芽の形成などの生理現象に働きかけます。
それだけでなく、光や重力といった環境刺激にも重要な役割を果たすことが知られています。
その作用の一つとして提唱されたのが、今回の果実の成熟への関与ということです。




種のない植物の成熟

tomatoes

オーキシンは、イチゴだけでなくトマトなども肥大化させます。そのため、冬など季節外れの時期にトマトの実をならせるには人工授粉をするか、もしくはオーキシンを使用するかしなければなりません。
オーキシンで実を肥大させると、花粉がめしべについて実ができるわけではないので、実が肥大しても種はできません。人工授粉をしない場合には、イチゴの実を大きくするオーキシンを直接花にかけるのです。そのため、季節外れのトマトには「種なし」のトマトがあるのです。





「オーキシン」に限らず、果実が成長し、成熟するためには、「ジベレリン」「エチレン」といった植物ホルモンの作用も大きく関係してくるのだそうです。






ジベレリン 種子の発芽や茎の成長、花芽の形成、果実のもととなる子房の成長などを促す働きをします。
また、植物の枝の枝垂れ具合にも影響を与えているホルモンといわれています。

※受粉の刺激でめしべ内のジベレリンが増加し、ジベレリンの作用によって果実の形成が促進されるケースもあるそうです。一方では、胚珠の授粉能力や花粉の受精能力を破壊する働きもあります(種無しブドウを作る際の処理に使用)。







エチレン 植物自身が作り出すことのできるガス状の植物ホルモンで、果実は収穫後もこの気体を発生し続けます。
果実を色付けたり柔らかくしたり、甘くしたりと、成熟した状態に導く(追熟)働きがあります。

※落葉・落果の促進、茎や根、芽の伸長の抑制といった作用も持っています。例えば、梅が緑色から黄色へと追熟しているのはエチレンの効果によります。特に梅やリンゴなどは自らエチレンを出しやすいので、程よい温度(20℃~30℃)と酸素があれば、何もしなくても色が変わっていきます。


ばなな

※緑から、熟した黄色へ。


*POINT
エチレンの効果はさまざまに利用されています。身近な例では、バナナの追熟があります。バナナは緑色の未熟な状態で収穫されてから日本に輸入されます。そのあとエチレンを吹きかけ成熟を加速させてからスーパーなどの店頭に並べられているのだそうです。




果実の成長には「オーキシン」が、成熟には「ジベレリン」「エチレン」という植物ホルモンが作用しているという事が分かりました。

果実は様々な植物ホルモンに影響を受けて大きく柔らかく成熟し、店頭へ並べられるのですね。







<参考・引用>

濱口壽幸・岸野功 (1988). 「ビワ果実の肥大に関する研究 第4報 果実発育初期, 肥大期の気温と果実の肥大, 成熟」『九州農業研究(九農研)』50. 240.
松井弘之 (1991).「〔連載講座〕ブドウ栽培における諸問題Ⅲ」『日本ブドウ・ワイン学会誌』3 (1). 81-87.
東京農業大学「食と農」の博物館(2011).「『果物に聞く』~五感を総動員して楽しもう~」『開館10周年記念誌 展示案内』54.
田中修 (2012).『植物はすごい―生き残りをかけたしくみと工夫』中央公論新社.
岩松鷹司 (2016).「植物の花と実の観察のための教材化―カキとリンゴ―」『教職キャリアセンター紀要』1. 125-131.
立木 美保 (2016). 「モモの成熟後期の軟化にかかわるエチレン生成の引き金はオーキシンである 硬肉モモを用いた解析から」『化学と生物』54 (7). 457-458.
NISSHAエフアイエス株式会社 「植物ホルモンとは?種類とそれぞれの特徴、用途」
Information 核果






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