トンボアイキャッチ


庭園日誌をご覧の皆様、こんにちは!

スタッフの【はやし】です。



今年の夏も暑かったですね。皆さんは夏の終わりにトンボをどのくらい見かけることができましたか?もしかしたらまだ近所を飛んでいるかもしれませんね!
今回はそんなトンボがどのような環境だと暮らしやすいのか、その実態から迫ってみたいと思います🌷





ヤゴが暮らしやすい環境



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皆さんトンボといえば、どんなところにいるイメージがありますか?
ちなみに私が想像する場所は、上の写真のようないわゆる里山環境です。



実際、トンボは池や川など様々な種類の水場がある場所に生息しやすいため、里山というのは間違っていないようです。
トンボは赤ちゃんだった時、つまりヤゴの時代の生息環境から「流水性トンボ」「止水性トンボ」の2つに大きく種類が分けられます。ヤゴの暮らしやすい場所がそのまま必然的にトンボの暮らしやすい場所というわけです。ですから、この種類分けからトンボの住みやすい場所を探っていくのがいいでしょう。
下は、それぞれの種を分けた表です。





流水性止水性
河川や水路など流水中に生息 池や水溜まりなど止水域に生息
ハグロトンボ、ダビドサナエ、オニヤンマオツネントンボ、ギンヤンマ、オオシオカラトンボ、アキアカネ

河川の流れの中に暮らすヤゴもいれば、できた池や水たまりなどに暮らすヤゴもいることが分かります。これらの環境の中でも、特に河原の水溜まりなどは止水性のトンボ類の良好な繁殖場所とされています。
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※トンボの幼虫、ヤゴ。


* POINT
ヤゴとは、卵からかえったトンボの幼虫のこと。
トンボは産卵期になると、秋~冬にかけて池・田んぼ・川・学校のプールなどの水辺に卵を産みます。春に卵からかえったヤゴは成虫になるまで水中で生活します。


また、近縁な種の間では住んでいる環境の好みが違っています。
例えば、


ギンヤンマ:日当たりが良く開放的な池を好む
クロスジギンヤンマ:より日陰が多く周辺を木立に囲まれた小さい池を好む
シオカラトンボ:水田などの平坦な場所にある開放的な水域を好む
オオシオカラトンボ:林に囲まれた閉鎖的な池沼を好む

などなど・・・。一概に「トンボはここにいる」とは言えないわけです。
* POINT

「棲(す)み分け」と呼ばれるこのような現象は、特に生態系の豊かなところでみられます。



トンボと周辺環境



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トンボがヤゴの時に住んでいる場所の大切さ、その多様性について知ったところで、さっそくトンボの住みやすい環境の特徴を見ていきましょう。



小長谷暁・小林久両氏の研究では要素別に分析した結果、下の条件を満たす場所、またそれらの要素が合わさった環境でヤゴの多様度が高い傾向にある(いろいろな種類のヤゴが生息できる)ということが分かっています。



  1. 護岸工が施されていない

  2. 水生植物がある

  3. 草本類だけでなく低木類もある岸辺

  4. 樹木がせり出している

  5. 下草の被う度合いが高い

  6. 半径 5m の樹林面積率が 5 割以上





多様度はどのような環境に左右されるのか、下の表を見てみましょう。印象としては、植物の種類がなるべく多くてうっそうとした環境が様々な種類のトンボにとって最も殖えやすい環境のようです。










岸の形態構造土岸 護岸
水生植物抽水植物のみ
抽水+沈水植物
無し
岸の植生草本+低木草本
樹林からの
枝のせり出し
有り無し
下草が
被う度合い
高い低い
樹林面積率5割1・2割
開放度閉鎖的開放的

※小長谷暁・小林久 「土浦市宍塚大池におけるトンボ類の分布と環境要素との関係」より抜粋。表の左側に行くほど多様度は高く、右側に行くほど低くなります。


つまり、トンボの生息には水辺環境と開放的な環境の存在が好ましいといえます。トンボの仲間の多くは、羽化後しばらくは羽化場所から離れた草地・林で過ごします。そのため、それに適した環境である広い草地・河畔林が多いことが大切なのです。



さらには、殖える場所以外にも 



  1. 水辺から約200m の範囲

  2. 草地等の開放的な環境



がトンボの生息域として重要になってきます。
※あるトンボが地域全体で生存できるかどうかは「池の環境条件の良さ」「周りの池とのつながり」の両方の影響を受けると考えられています。


研究によると、ため池などの配置自体がトンボの生息域を決定してしまうこともあるのだそうです。いろんな種類のトンボを守るには、トンボが移動できる範囲にいろんな環境の池がいくつもあることが重要なのですね。
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トンボをお庭に呼んでみよう!



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トンボが飛び交うお庭は想像しただけで素敵ですよね✨
トンボの暮らしやすい場所を踏まえて、実際にお庭にトンボを呼ぶにはどうしたらいいか考えてみましょう!



トンボの中でもたまり水で繁殖できる止水性トンボはお庭に呼びやすいと言われています。一方、流水性トンボは水が流れていないと繁殖できないため、呼ぶにはちいさな流れをつくらないといけません。
そこで、今回は呼びやすい止水性トンボの紹介と住みやすい環境づくりを一緒に見ていきましょう!




止水性トンボの代表

シオカラトンボ・アキアカネ・ノシメトンボ・イトトンボの仲間(水質汚染にも強い)


止水性トンボといってもいろいろな種類があるのですね。
これらの止水性トンボを呼ぶためには、水を濁らせないために水辺環境を貧栄養状態にすることが必要です。



そのためには、藻やボウフラの発生を抑えなければなりません。藻の掃除のためには、タニシ・カワニナ・モノアラガイ・レッドラムショーンスネイルなどがおすすめ。なるべく自然の力で水辺の自浄作用を高めましょう✨
ボウフラの発生をおさえるためには、ヒメダカ・アカヒレなどの小魚を住まわせてみましょう!
さらに、小石が少し見える浅瀬(1~2cm程度)にすると水浴びしに来る小鳥たちも呼び寄せることができますよ。
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最後に、お庭が日陰環境と日向環境どちらにあるかによって呼びやすいトンボとそれに適した環境を表でご紹介します。






日なた日陰
トンボアキアカネ・イトトンボ・シオカラトンボコシアキトンボ
環境近くに大きな樹など無い方がよい木立の脇などがよい
適した植物クレソン・ガマ・アシ・イグサ・スイレン
・ミソハギ・クワイ・パピルス・フサモ
フイリゼキショウ

アキアカネ

※アキアカネ
表でもわかる通り、基本的にはお庭が日向にあるほうがたくさんのトンボが訪れるようです。「大きな木などを植えていない」という方は水辺にアシやスイレンを取り入れると赤とんぼ(アキアカネ)がみられるかも?!










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