
庭園日誌をご覧の皆様、こんにちは!
スタッフの【はやし】です。
前回はハチがどうして刺すのか、どうやったら刺すのかなどをご紹介しました。
今回は、そんな強い攻撃方法を持つハチにはどんな天敵がいるのかをご紹介します!
※前回の記事については下をクリック!
ハチの中でも、スズメバチやアシナガバチは虫の世界で食物連鎖の上位にいるため、もちろんハチを天敵とする虫は多くいます。
しかしそんなハチでも、天敵がいるのです。
その中でも最大の天敵は私たち人間といえますが、それ以外にもいろいろな天敵がいて、ハチの種類それぞれによって天敵も異なります。
では、さっそく身近にいるハチたちについて、それぞれの天敵をご紹介していきます!
スズメバチの天敵
クマ、 オニヤンマ、 カブトムシ、 オオカマキリ、 アブ、 スズメバチネジレバネ、 スズメバチタマセンチュウ
などがスズメバチの天敵だと言われています。
ハチの中でも凶暴なスズメバチに、こんなに天敵がいたなんてちょっと意外ですよね!
天敵はそれぞれ、どのような脅威をもつのでしょうか。一つ一つ見ていきましょう✨
クマ

クマはスズメバチの幼虫を食べるために巣を襲います。実は巣を襲うときに刺されるのですが、厚い毛皮と皮下脂肪があるため比較的平気なのだとか。
オニヤンマ

オニヤンマは大型のトンボの1種です。なんと肉食で、スズメバチを捕まえて食べちゃうんです・・・!
カブトムシ

カブトムシはスズメバチに比べ体が大きく、力も強いといわれています。そのため、スズメバチの方からカブトムシに近づくことはほとんどありません。お互い樹液を取り合ったりするのですが、基本カブトムシが勝つことが多いのだとか。
オオカマキリ

オオカマキリはカマキリの中でも特に大きな体と鋭い鎌を持っています。オニヤンマと同じく、スズメバチを食べてしまいます。スズメバチはその自慢の鎌で押さえ込まれてしまうのだそうです!
それでも、スズメバチの針での攻撃はオオカマキリに有効であるため、スズメバチが勝つことも少なくありません。
アブ

アブはハチによく似ています。しかし、やはりスズメバチを食べてしまうのです。その攻撃はなんとも凄惨で、尖った口をスズメバチに突き刺し、体液を吸い取るというもの!
しかし、アブもスズメバチの捕食対象です。そのため不意打ちをしない限り、スズメバチに負けてしまうことも多いみたいです。
(寄生虫)スズメバチネジレバネ

※画像はWikipedia「スズメバチネジレバネ」より。
スズメバチネジレバネは、ネジレバネという寄生虫の一種です。スズメバチネジレバネはスズメバチに寄生し、寄生されたスズメバチは体の動きをコントロールされます。その結果、働き蜂はコロニー内で仕事をしなくなり、女王蜂が寄生された場合は産卵をしなくなってしまいます。こうして、コロニー全体が衰退していくのです・・・。
(寄生虫)スズメバチタマセンチュウ
スズメバチタマセンチュウは、線虫という寄生虫の一種です。スズメバチタマセンチュウに寄生されたスズメバチは卵巣の機能に障害を起こし、産卵できなくなってしまいます。
スズメバチの繁殖を抑制する研究では、人為的にスズメバチタマセンチュウの利用が考えられているのだとか!ちなみに、農業の分野では、ハチの駆除に農薬ではなく天敵である寄生蜂などを利用するエコな害虫駆除が考えられているのだそうです。それでもやはり、天敵を利用してどうこうするのはなかなか現時点では難しいということです。
アシナガバチの天敵
スズメバチが天敵とするもの、 アリ、 ヒメスズメバチ、 ウスムラサキシマメイガ
などがアシナガバチの天敵だと言われています。
やはりスズメバチと比べて天敵は多いようですね~。
アリ

アリはアシナガバチの巣をねらって、壁や木を登ってきます。小さいですが、脅威であることに変わりはありません。
ヒメスズメバチ
ヒメスズメバチはスズメバチの1種です。幼虫や蛹を捕食対象とし、アシナガバチの成虫そのものにはそこまで攻撃は行いません。アシナガバチの巣を襲うことで有名ですが、やはりハチ同士でも攻撃しあうのですね。
(寄生虫)ウスムラサキシマメイガ
ウスムラサキシマメイガの幼虫はアシナガバチ(セグロアシナガバチ・キアシナガバチ)の巣に寄生し、幼虫や蛹を食べて成長します。そしてそこで産卵し、ウスムラサキシマメイガの子供たちがまた育っていきます。そうやって、寄生されたアシナガバチは幼虫から巣まで利用されてしまうのです・・・。
ミツバチの天敵
それぞれスズメバチ、アシナガバチが天敵とする動物・昆虫、 スムシ、 ダニ、 カエル、 ツバメ、 スズメバチ、 ウスグロツヅリガの幼虫
などがミツバチの天敵だと言われています。スズメバチ、アシナガバチと比べ物にならないぐらいたくさんの天敵がいるのですね!
スムシ
正式名称をハチノスツヅリガとウスグロツヅリガという通称「スムシ」は、ミツバチの巣に寄生します。寄生するスムシの種類がミツバチの種類によって変わるということも特徴的です。
スムシは特にミツバチの巣の素材である蜜蝋が好物で、巣を食べてしまいます。ミツバチそのものがスムシに食べられることはありません。しかし、巣の大部分を食べられてしまうと、ミツバチはその巣を離れて別の場所へ引っ越さなければならないのです・・・。
ダニ

ダニの中でも、特にアカリンダニは、ミツバチの気管支に寄生し、その血液を食べて生活します。
寄生されたミツバチは、本来の動きができなくなって餌の確保や育児ができなくなるのです。そのため、冬場になると働き蜂がいなくなり、巣が崩壊してしまうのだとか!
ミツバチヘイギダニやミツバチトゲダニなどもミツバチの幼虫に寄生し、その体液を吸います。体液を吸われた幼虫は、発達に障害が出て正常な働き蜂になりません。その結果、コロニーは衰退していくのです・・・。
カエル

カエルはミツバチを食べます。そのため、カエルが多くいる水場近くにミツバチの巣がある場合、そこがカエルのえさ場になることがあるんです!
ツバメ

ツバメは基本的に小型の虫を捕食するため、ミツバチも捕食します。暖かい季節にはツバメの活動が盛んになり、ミツバチは特に狙われやすくなるのだそうです。
スズメバチ

なんと、同じハチであるスズメバチもミツバチの天敵です。特にスズメバチはミツバチの巣を襲撃することで知られています。同じハチ同士でバトルが繰り広げられているのは興味深いですね。
(寄生虫)ウスグロツヅリガ
ウスグロツヅリガというガの幼虫はミツバチに寄生します。特に巣を荒らすことで知られている手ごわい相手です。
ハチ同士の仁義なき戦い!「熱殺蜂球」

※写真はPAKUTASO(撮影協力:山田養蜂場みつばち農園)より。
なんと、日本の在来種であるニホンミツバチはスズメバチの攻撃を多く受けてきたため、スズメバチに対抗する「熱殺蜂球形成」(ねっさつほうきゅうけいせい)という手段を独自に身につけています。これは、大勢のニホンミツバチがスズメバチを取り囲んで胸の筋肉を震わせ、摩擦熱で48度程度の高温を作り、蒸し殺すという恐るべき技です!これは、日本在来種のニホンミツバチでしか観察されない現象なのだそうです。しかし最近の研究では、この手段がミツバチの寿命を縮めてしまうということも分かっています。まさにミツバチとスズメバチの命がけのバトルといえるでしょう。
<参考・引用>
上野高敏 九州大学大学院 農学研究院 生物的防除研究施設 「ヒメスズメバチ」
森林総合研究所 平成23年版 研究成果選集 「スズメバチの手強い寄生天敵スズメバチタマセンチュウー寄生されるハチの種類と国内分布が明らかに」
ハチ110番by:生活110番「蜂同士も天敵だった!蜂の意外な天敵たちと蜂駆除利用の可能性」
玉川大学 [大学院] ニュース&イベント 「ニホンミツバチの対オオスズメバチ蒸し殺し戦法は「諸刃の剣」だったー天敵熱殺の代償に蜂球参加ミツバチの余命が短縮!それに対応する驚きの戦略も!!ー」
Sumical「ハチにも天敵がいる!ハチとほかの生き物の関係をのぞいてみよう!」
Red Data Book Ehime 愛媛県の絶滅の恐れのある野生生物 「ウスムラサキシマメイガ」
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