庭園日誌をご覧の皆様、こんにちは!
スタッフの【はしもと】です。

最近は冷え込みがさらに厳しくなってきて、お鍋の美味しい季節も真っ盛りですね。筆者は先日つくねを手作りしてお鍋を楽しみました。すりおろしたレンコンをつなぎにしてつくねを作ると非常に食感が柔らかくなると知人に教えてもらったので、試しにその通りに作ってみたところものすごいフワフワのつくねができました。(お試しあれ!)
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さてさて先日の記事は楽しんでいただけましたか?(まだ読んでいらっしゃらない方はこちら!)
今回は前回、前々回で取り扱った笹の持つユニークな能力に関して迫っていきたいと思います!

目次

  1. コラム~笹の耐寒機構の不思議~

  2. 最後に




コラム~笹の耐寒機構の不思議~

さて、前編中編とここまで笹の話をたくさんしてきましたが今回のコラムでは笹が寒い地方においてどのような生存戦略をとっているのかについて説明していきたいと思います。

笹について調べていたところ、笹には面白い耐寒機構があることがわかりました。先程、生息地の話でも触れた通り笹は竹と違い、非常に耐寒性に優れた植物です。これは、笹の寒さに抵抗するための機構が深く関係しています。

まず、笹の耐寒機能のお話をする前に、植物がどのように寒さに耐えているのかをお話していきたいと思います。

温帯よりも北に生息する植物は、ほとんどの植物で体内に氷ができます。(日本もそうですが、氷点下になりますからね!)

そういった植物たちは体内の水分が凍っても生きられる仕組みを備えているのです。

今までの研究によると体内の水分が凍っても植物が生きていける条件「細胞の中に氷を作らないこと」だそうです。細胞内に氷の結晶ができると、細胞内の細胞膜、核、葉緑体、液胞などの構造が氷の結晶によって傷ついてしまい、細胞が死滅してしまいます(これを細胞内凍結と言います)。
細胞内凍結が細胞を傷つけるわけ

△細胞内に氷の結晶が形成されると、氷によって細胞内が傷つき細胞は死んでしまう。細胞外に氷の結晶が形成された場合は、細胞は生存できる。

しかし、植物細胞の中には糖やアミノ酸などの様々な溶質が解けているため細胞内の溶液は濃度が高くなっており、氷点下になってもすぐには細胞内の水は凍結しません。

一方、細胞壁や細胞と細胞の間などの細胞外は水蒸気で満たされており、解けている溶質が少ない環境です。さらには、氷の結晶を作るための核となる物質も多く存在します。従って、氷点下になると、多くの植物では最初に細胞外に氷ができます。これを細胞外凍結と言います。

いったん氷ができると、氷のまわりの水や細胞内の凍結していない水は氷に引きつけられ、氷の結晶は成長していきます。その結果、細胞内の溶質濃度はどんどん高まり、ますます凍結しにくい状態になります。

さらに、細胞壁に接して存在する細胞膜が氷を通しにくい性質を持っているため、細胞外にできた氷は細胞内に侵入しない仕組みを持っているということです。
細胞外凍結の仕組み

△細胞外に氷が形成されるメカニズム。初めに細胞間を満たす水蒸気が凍結する。その後、細胞外の氷に細胞内の水がひきつけられる形で細胞外の氷の結晶が成長する。細胞外では氷が形成されるが、細胞内は脱水によってアミノ酸や糖類の濃度が高くなるため凍結しづらくなる。

細胞外凍結に加え、植物には様々な凍結に対抗する機構があります。本コラムの中心である笹では、「深過冷却」という機構によって凍結を防いでいます

深過冷却とは、細胞外の水が凍っても、厚く・硬い細胞壁の存在により木部※1柔細胞からは脱水が起こらず細胞内水分は過冷却したまま、数週間以上にわたる長期間、-40℃近い低温でも液体状態を保ったまま越冬する適応機構のことです。笹は-20℃~-30℃までは深過冷却によって細胞内の水を液状のまま保つことが可能であるそうです。
深過冷却

△現在考えられている深過冷却の仕組み。笹のように細胞壁の分厚い植物は細胞内の水分が細胞外へと移動しない。

この、深過冷却が生じる仕組みは現在も研究が進められているところですが、一説によると深過冷却をする植物では、凍りにくくなるようなたんぱく質が分泌されており、これらのたんぱく質の働きによって氷の中心となる氷核の形成が抑制され、過冷却が維持されているそうです。

これらの深過冷却維持機構び研究は、食品や医薬品を輸送する際に凍結・融解の手間がかからず品質を保つ過冷却による運搬や、車の凍結防止剤などへの応用が検討されています。

※1木部……維管束植物の維管束を形成する複合組織の一つ。道管や仮道管組織、木部繊維組織、木部柔組織(木部唯一の生細胞)からなる。


最後に


さて、今回は社長の疑問から始まった本トピックを紹介させていただきました!竹と笹が英語ではどちらもbambooであったため、文献探しに苦戦したり(最終的にはSasaとかdwarf bambooで論文を探していました)、そもそも笹の研究がそこまで進んでおらず文献自体が少なかったりとかなり苦戦しながら本記事を作成させていただいたのですが、楽しんでいただけましたでしょうか?

この記事を読んで笹のうんちくマスターに皆さんなってくださいね(๑•̀ᴗ- )✩
それでは皆様!またお会いしましょう!



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