造園日誌をご覧のみなさま、こんにちは。【しっぺい】です。
最近は雨が続き、からっとした秋晴れが恋しいですが、
植物にとっては恵みの雨でもあります。
今日はそんな、植物にとって欠かせない水との関係について、調べてみようと思います。
水のはたらき
なんと植物は36億年もの長い間、海などの水の中で生きてきたと言われています。
植物が光を求めて陸上に上がったのは約10億年~5億年前のことです。
このように植物と密接なかかわりを持つ水は、
シダ植物や裸子・被子植物などの高等植物の場合は重量の約80~90%を占めています。
成人の場合は体重の約65%と言われていますから、
比較すると重要性がよく分かりますね。
この体内の水が少しでも減ってしまえば、植物は生きていくことが難しくなってしまいます。
Ⅰ. 光合成をしてエネルギーを作る
植物での水の役割と聞いてまず思いつくのは光合成でしょう。
光合成とは、水と光と二酸化炭素を材料に、葉で行われる化学反応のことです。
光から高エネルギー物質を作り出し、炭水化物を生産し、
さらにそれらを合成して身体を構成する様々な物質を作り出します。
詳しくは「光合成のしくみ」のページをご覧ください。
Ⅱ. 栄養をからだ中に運ぶ
植物のからだの中には、根から吸収した水を茎や葉に運ぶための水路があります。
これは道管や仮道管と呼ばれるものです。
根から吸収された水には、植物の成長に必要な養分、
例えば窒素やリン酸などが溶けており、それらは葉の隅々にまで運ばれていきます。
また、光合成によって葉でできた糖分は
道管と同じように植物全体を通る師管を通ってからだ全体に行き渡り、
最終的には根まで届きます。
このように、植物のからだの中では、常に水分が必要な栄養素を溶かして巡っているのです。
※出典;http://www.suntory.co.jp/eco/teigen/jiten/drink/dr_01_01.html
『サントリー 水と生命「植物と水」』(最終閲覧日:2016/10/7)
Ⅲ. 植物のからだを支える
みなさんが“植物”と聞いて思い浮かべるものの多くは、
根、茎(幹や枝)、葉という3つの部分から成り立っているものではないでしょうか。
葉や茎が柔らかいにもかかわらず、植物がしっかりとからだを支えられているのも、
細胞のひとつひとつが水で満たされているからです。
それぞれの細胞が水を吸収して膨れ上がると、
周囲の細胞を圧迫しようとする力がはたらきます。
植物全体にその力が及ぶことで、ぴんと張った姿になるのです。
一方水が足りないと細胞が縮み、しおれてしまいます。
Ⅳ. 蒸散をする
蒸散とは、植物が気孔を通して
水分を葉の内部から大気中に放出する現象のことを言います。
蒸散の役割は主に2つあります。
①水の蒸発熱によって葉の温度を下げる
吸収しすぎた余分なエネルギーを、蒸散によって放出します。
これは人間が暑いときに汗をかく仕組みと同じですね。
②体内に水を循環させる
植物を構成する細胞の膜は、水のみを通す仕組みとなっています。
そのため、濃度が濃い水と濃度が薄い水が細胞膜で仕切られていると、
濃度が薄い方から濃度が濃い方へ水が吸収されていきます。
これを浸透圧といいます。
そして、根の浸透圧の差を利用して、
水分を道管を通して地上まで吸い上げる力を根圧といいます。
しかし根圧は、水分を植物の頂上まで運ぶほどの力は持ちません。
では、20メートルを超える木のてっぺんまで、重力に逆らって水を運ぶ力は何なのでしょうか。
これは、まだ完全に説明されたわけではありませんが、
水の凝集力によるものが大きいと言われています。
これは水分子が互いに引き合う力のことです。
蒸散によって気孔から水が出ていくとで、水分子が互いに引き合い上昇し、
植物の体内に水が巡るというわけですね。
気孔のしくみ
植物は、葉に水分が十分あるときは気孔を開き蒸散をして、
不足しているときは気孔を閉じます。
孔辺細胞は内側の細胞壁が厚く、外側の細胞壁が薄くなっています。
そのため外が葉の方が変形しやすく、内側は硬く変形しにくい仕組みになっています。
葉に水分がたくさんあるときは、水を吸収した孔辺細胞が外側へ膨らむみ気孔が開きます。
一方水分が少ないときは孔辺細胞から水がなくなり細胞がしぼみ、気孔が閉じるのです。
本日は水をテーマに植物のからだの仕組みに迫ってみましたが、いかがだったでしょうか。
植物の身近な現象も仕組みを知ると興味深いですよね。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。
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