庭園日誌をご覧のみなさま、こんにちは。
スタッフの【川瀬】です。
近頃は春らしいお天気の日が増え、
街角で梅や木瓜の花を見かける機会も多くなりました。
桜のつぼみも膨らんできた頃でしょうか?
季節の変わり目に咲く花々は
時の移ろいを感じさせてくれますよね。

筆者おすすめの桜スポットは、奈良・吉野。山の上から見下ろす一面の桜は壮観です。
さて、春になって温かくなれば
梅や桜が咲くのは当たり前、と思われるかもしれませんが
実はそこに至るまでには長い準備期間があり、
その間植物はスケジュール調整のために
いくつかの工夫を行っています。
この記事では、樹木がどのように季節の変化を感じて花をつけるのか、
探ってみたいと思います!
※植物が開花の時期をコントロールするしくみは種によって様々ですが、
本記事では梅や桜などの春咲きで落葉する花木類について取り上げています。
花づくりの三つのステップ
植物が花をつけるためには、三つのステップを踏まなければいけません。
ステップ1 花芽(かが・はなめ)をつくる
ステップ2 花芽を発達させてつぼみをつくる
ステップ3 蕾を成長させて花を咲かせる

花芽は花のもとになる器官です。
花芽をつくり始めるということは、植物が交配して実を付ける
(=子孫を残す)ための第一歩と言えます。
梅や桜のような花木では、
前年の夏には早くも花芽をつくり始め、
ステップ1が完了します。
半年以上も前から春に向けての準備をしているのですから、
ずいぶん計画的ですね。
ぜひ筆者も見習いたいところです。
葉っぱは大事なストッパー
春に梅や桜の花が咲くとき、葉は付いていませんよね。
一見花が咲くしくみには関係ないようにも思えますが、
実は春にきちんと花を咲かせるためには葉の役割が不可欠なんです。
その理由は、葉から花芽に送られる抑制物質(アブシジン酸)
です。
植物ホルモンの一種で、休眠を誘導する働きがある。
→【休眠】についての過去の記事 「植物の冬越し」
→【植物ホルモン】についての過去の記事 「植物ホルモンって何?」
葉は日の長さを感じるセンサー
としてのはたらきを持っています。
花が咲く前年、秋に向かって日が短くなるのを感じると、
花芽が成長しないようアブシジン酸を出すといわれています。

この作用のおかげで、秋に小春日和の気候が続いたとしても
「春が来た」と勘違いせずに済むというわけですね。
狂い咲きが起きるのは、台風や虫が原因で葉が本来の落葉時期より
前になくなってしまうから。
花芽の成長を抑える葉がなくなると、秋や冬でも花が咲いてしまう。
冬越え、そして開花
冬になって葉が散ったあと、
アブシジン酸の効果は次第になくなっていきます
さらに休眠している間に冬の寒さを受けることで、
花芽はステップ2の段階に入ります。
つまり、つぼみを作る準備が整うということです。
こうなれば、いよいよ準備万端です!
春が近づいて気温が上がってくると、
花芽は一気にステップ3までクリアして
一斉に花を咲かせます。
こうして咲いた花々を見て、
私たちもやっと春を感じられるわけですね。
Check!
桜や梅などの樹木は、葉っぱで光、
花芽で低温を感じて開花の時期をうまく調節している!
今回は桜や梅についてのお話でしたが、
草花はまた違った開花の仕組みを持っています。
また機会があればご紹介する予定ですので、お楽しみに。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
「日本植物生理学会 みんなのひろば ”狂い咲きについて”」(最終閲覧:2017/2/21)
URL:https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1104
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