庭園日誌をご覧のみなさま、こんにちは。
スタッフの【けやき】です。
Marian Nedelcu ©
今回は“葉先が光の方向に向かって育ち、根は地下に向かって伸びる”
…そんな一見当然のようなことについて、仕組みをお話ししたいと思います。
屈性
原因はこれ、「屈性」という性質です。
屈性
植物が刺激の方向に対して一定方向に屈曲する性質
例えば、
・光という刺激の方向に茎が伸びる
・重力という刺激の方向に根が伸びる
・水分という刺激の方向に根が伸びる
というようなことです。
このような屈性は、植物ホルモンの一種である「オーキシン」の働きによって現れます。
植物ホルモンとは、植物体内で作られ、他の場所へ移動して成長や生理作用を調節する物質です。
詳しくは「植物ホルモンって何?」をご覧ください。
茎が光の方向へ曲がる仕組み
植物が光の方向へ伸びるメカニズムについて説明します。
まず植物の芽に光が当たったとき、
茎の中のオーキシンは光と逆の方向に運ばれます。
オーキシンには成長を促進する作用があるため、
オーキシンの多いところでは成長が早くなります。
つまり、光の当たり具合によって茎の内部で伸びるスピードに差が生じ、
結果として芽が光の方向へ曲がる、というわけです。
これが「光屈性」です。
根についてはこれと反対の作用が起こるため、
光と逆方向へ逃げるようにして伸びていきます。
根が重力の方向へ伸びる仕組み
次に、根が重力にしたがって伸びるメカニズムについて説明します。
まず、根の先端(根冠)の細胞が重力を感知します。
すると、重力の方向にオーキシンが運ばれます。
ここでポイントになるのが、先ほどの茎の光屈性と反対に
根ではオーキシンが多いところの成長が遅くなる、ということです。
その結果、重力の方向(根の下側)へ向けて根が曲がるのです。
これが「重力屈性」です。

茎についてはこれと反対の作用が起こり、
重力に逆らうように伸びていきます。
重力屈性を失うと…?
この重力屈性を失った種が存在します。
そう、それが京都府の府花にもなっている、美しいシダレザクラ。

写真は京都の桜の名所・円山公園のシダレザクラ 「京都の桜 フリー写真」http://kyoto-sakura.net/
シダレザクラでは、通常のサクラが持っている
重力に逆らって上に伸びる性質が失われています。
そのため、このように枝がしなって垂れ下がっているのです。
通常、この状態では自然環境の中で生育できませんが、
人間が重宝して積極的に保護したため現在まで残っています。
Check!
植物は、根や茎で刺激を感じ取って伸びる方向を決めている!
もうすぐ桜のシーズン。
京都のシダレザクラの名所は円山公園、平安神宮、醍醐寺、高台寺などです。
ぜひ足を運んで、花の美しさだけでなく、植物のメカニズムにも思いを馳せてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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