庭園日誌をご覧のみなさま、こんにちは。
スタッフの【川瀬】です。
秋も深まって参りました。
今回のテーマは、近ごろよく見かける「あの虫」です…。
カメムシ、またの名を「放屁虫」
カメムシといえば、あの特徴的なにおいですよね。
それにちなんだ別名が、「放屁虫(へひりむし・へこきむし)」です。
ちなみに、「放屁虫」は秋の季語として歳時記に掲載されています。
あれもこれもカメムシ
昆虫の分類上で「カメムシ目」に属する虫には、
セミ、アメンボ、タガメ、アブラムシなども含まれています。
共通点は、細長い針状の口を何かに挿して食べ物を得る、という点ですね。
今回の主役は、その中でもカメムシ科などに属する狭義の「カメムシ」です。
ガーデニングや家庭菜園をされている方にとっては
草木の汁を吸い取ってしまう憎き敵かもしれませんし、
そうでない方にとっても、なかなか好ましく思える虫ではないでしょう。
しかし、ちょっと待って下さい。
全てのカメムシが、臭くて厄介な悪者なのでしょうか?
答えはNoです。
カメムシ二大派閥
カメムシは、たいてい草食性か肉食性のどちらかに分けられます。草食カメムシが樹液や果汁を吸うのに対し、
肉食カメムシは小さな昆虫の体液を吸います。
「小さな昆虫」の中には、害虫であるアブラムシなども含まれています。
つまり…草食カメムシは敵でも、
肉食カメムシは味方になりうる!というわけです。

マルカメムシ、エサキモンキツノカメムシ、チャバネアオカメムシなどは草食性のカメムシ。
一方、ヒメハナカメムシ、アカシマサシガメ、オオメカメムシなどは肉食性のカメムシです。
牛の顔のような背面がかわいらしいウシカメムシは、中間の雑食性です。
農家の味方!ヒメハナカメムシ
近年では、農業の現場でもカメムシを害虫駆除に利用する技術が確立されています。
例えば、露地栽培のナスにつく害虫に
アザミウマ類という虫がいますが、 その天敵になるのがヒメハナカメムシです。
ということは、アザミウマ類を撃退したいなら、
ナス畑をヒメハナカメムシにとって住みやすい環境にすれば良いですよね!
天敵温存植物
ヒメハナカメムシにとって「住みやすい環境」とは何でしょう?
それは、ご飯に困らない環境、つまり餌になるアザミウマ類がたくさんいる環境です。
ただし、ナスを食害するアザミウマ類を増やしては元も子もありません。
そこで活躍するのが、ナスを食べない別のアザミウマ類を呼び寄せ、
ヒメハナカメムシにたくさんのご飯を提供できる、マリーゴールドなどの植物です。
このような植物を「天敵温存植物」といいます。
こうしてカメムシの力を借りることで
農薬の利用を抑えることができ、経費や労力、環境への負担が
少ない農法が可能になるのです。
害虫か否か?見分けるべし
そうは言っても、実際のところ日常的に見かけるカメムシはその多くが草食性で、
害虫になるものも多いでしょう。
しかし、どうか「カメムシ即ち駆除」と考えないで下さい。
目的に合うカメムシを見分けてピンポイントで駆除することは、
お庭の小さな生態系のバランスを保っていくことにもつながるのです。
カメムシたちとうまく付き合いながら、
生き物でにぎわう豊かなお庭を作って行きましょう!
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
<参考・引用>
1. 「虫といっしょに庭づくり」 築地書館, 曳地トシ・曳地義治著 (2008)
2. 農研機構 「土着天敵を活用する害虫管理技術 事例集」 (2016)
URL: http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/pub2016_or_later/files/Jirei_1_Nasu_Nara.pdf
1. 「虫といっしょに庭づくり」 築地書館, 曳地トシ・曳地義治著 (2008)
2. 農研機構 「土着天敵を活用する害虫管理技術 事例集」 (2016)
URL: http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/pub2016_or_later/files/Jirei_1_Nasu_Nara.pdf
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