庭園日誌をご覧のみなさま、こんにちは。
スタッフの【はやし】です。
気持ちのいい休日。ふとお庭に出てみると、雑草がたくさん生えている!
なんていう経験、ありませんか?
今回は、そんなピンチの時に役立つ除草剤についてご紹介します。
そもそも、除草剤って?
除草剤はその名の通り、雑草を取り除くための薬剤です。
育てている植物を他の植物・生物からまもるには、
- 雑草をのぞく
- 害虫・害獣を駆除する
- 病気を防ぐ
という方法が一般的だとされています。
その中でも殺虫剤や殺菌剤と共に注目を浴びている除草剤。
いろいろな種類があるのはご存知でしたか?
除草剤は大きく液体タイプ、顆粒(かりゅう)タイプの2つに分けることができます。
またその種類も様々で、
全ての植物に効く「非選択性除草成分」、ある特定の植物に強く効く「選択性除草成分」などが主にあげられます。
これらの種類はどちらか一方で使われたり、組み合わせて使われたりもするのだそう。

※除草剤のタイプ簡略図
では、具体的には植物にどんな影響を与えるのでしょうか?
除草剤の成分による効果は、主に下の2種類があります。
- 植物が生きていくのに不可欠な光合成を阻害する
- 植物ホルモンの作用をかく乱して枯らす
どういうときに、何を使うの?
様々な種類や効果がある除草剤。もちろん、いざ使おうとするときには適材適所があります。
店頭に並んでいる除草剤には様々な種類があって迷ってしまいますが、基本的には除草剤が「茎葉処理型」なのか「土壌処理型」なのかの違いを知っておけばもう大丈夫です!
これらの違いは、
成分を葉から吸収するか、根から吸収するか
で判断することができます。
では、どういうときにどっちを使えばいいんでしょうか?
茎葉処理型
お庭に入り混じって雑草が生えちゃってますね。
こういう時は、「茎葉処理型」の除草剤を使いましょう!
茎葉処理剤はその名の通り、茎や葉の表面から吸収される除草剤です。
- 特徴
- 液体タイプが主流
- 除草剤をかけた植物だけを枯らすことができる(「選択性除草成分」)
その特徴のおかげで、近くに生えている2種類の植物でも枯らしたいか枯らしたくないか選び、どちらかだけ枯らすことが可能なのです。ワンポイント使いで雑草を駆除するのには適役ですね!
しかし、除草剤がかかった植物は確実に枯れるため、芝生の中の雑草など枯らしたくない植物と交じって生えている場合簡単には使えません。
(雑草全般に効果的な液剤と芝生の中に生える雑草を選んで枯らす液剤とがあるので、選んで使いましょう!)
液体タイプの除草剤の特徴
液体タイプには、雑草への効きが比較的早いという特徴があります。
作用によって、そのまま使うことができるストレートタイプと希釈して使う原液タイプ(薄めて広い範囲に散布可能)とに分けられます。
中には効果が長続きする、茎葉・根の両方から吸収される成分もあるのだそうです。
注意ポイント:種には効かないため、芽は新たに発芽する!
土壌処理型
お庭で育てたい植物の場所はきっちり決めている。そこ以外には絶対雑草が生えて欲しくない!
こういう時は、「土壌処理型」の除草剤を使いましょう。
土壌処理剤は土の表面に残ることで、芽が出た種をそれ以上育たないようにする除草剤です。
- 特徴
- 顆粒タイプが主流
- その場にある植物全てを枯らす(「非選択性除草剤」)
これ、お庭全体を雑草の少ない環境にするという点では最強ですよね!
でもその特徴ゆえに、枯らしたくない植物と枯らしたい植物が近くにある場合は簡単に使えません。まく場所に注意して使用しましょう。
顆粒タイプの除草剤の特徴
様々な種類の雑草を除くことができるタイプのものが主流です。根から吸収されるため、地面が比較的湿っているときにまくのに向いています。まくだけで発芽を抑える作用もあり、効果が長続きするものが多いのが特徴です。
注意ポイント:草が伸びてくると効きにくくなる!
さて、ここでまとめです。
使い方
仕組み
- 茎葉処理剤
- 除草剤が水に溶け、地中に層を作る
- 地表の近くにある根が成分を吸収
- 根から茎や葉へ効果が出る

- 土壌処理剤
- 土壌の表面に除草剤を散布
- 成分はすぐに分解されずに土中に留まる
- 雑草の種子は発根したら除草剤を吸収し、枯れる

中には防虫成分も備えた除草剤もあるので、店頭でも探してみてくださいね。
なが~い除草の歴史
現代の私たちの頭を悩ませる雑草。いったいいつから、私たちは雑草と戦ってきたのでしょう。
一説によると、雑草を防ぐ・除くといった意識やそのための機具が書物に初めにあらわれるのは、なんと紀元1世紀のローマ帝国時代なのだそう。ヨーロッパではすでにイギリスのウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)などによる16世紀文学作品の中に「邪魔な植物」としての雑草が登場しています。
17世紀あたりからは耕うんのための機械・器具が発明・発展され、馬が牽いていく形も20 世紀には動力へと変わっていきました。
一方、17世紀日本では最古の農書『清良記』(1629-1654)の中で雑草を肥料として使うことが推奨され、宮崎安貞の『農業全書』(1697)にも除草についての記述がされています。
なんと、江戸時代には麦の糠、苦汁(にがり)、鶏や蚕の糞などが除草剤として使われていたそう。中には畑に麻を植えるなど、まく以外にも工夫がなされていたようです。
そして時代は近代へと移行していきます。19世紀頃には科学物質をまくことで雑草を取り除こうという発想がされ始め、最初は硫酸・塩酸・石灰・塩など、そしてその後硫化鉄・硫酸銅・ヒ酸ナトリウム・ホウ酸ナトリウム・塩素酸ナトリウムなどが使用されていきました。石油などのオイルの散布も試されたのだそうですよ。これらの技術の発展はさらに様々な工夫を凝らされ、今の除草技術に至ることになるのです。
私たちは長い時間をかけて様々な工夫を凝らして雑草と戦ってきたのですね。
長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
次回の投稿もお楽しみに!
<参考・引用>
伊藤操子 「世界における除草剤の歴史:その誕生・発達・変遷」『草と緑』8:3-11(2016)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/iuws/8/0/8_3/_pdf/-char/ja
資材販売 株式会社 アイ・エイチ・エス 「除草剤の選び方 プロ資材の専門店が解説!」
https://www.ihs1187.com/matome/zassou-josouzai.html
武並義和 「雑草の生い茂る庭」
https://konan-wu.repo.nii.ac.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=434&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1&page_id=13&block_id=17
農業工業会 『防除の文明史』 「除草技術のあゆみ(1)日本:江戸時代」
https://www.jcpa.or.jp/labo/column/control/13/
マイナビ農業 【除草剤の種類一覧】種類ごとの特徴や効果・選び方などをまとめて解説 BASFジャパン
https://agri.mynavi.jp/basf-gogosan/types/
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