庭園日誌をご覧のみなさま、こんにちは。
スタッフの【はやし】です。
こんなサボテンが素敵なドライガーデン、おしゃれなカフェやホテルでよく見かけますよね。
実はこれ、ご自宅でも簡単にできるということは知っていましたか?
今回は、こんなお庭にピッタリなサボテンの性質と、扱う際の注意点をご紹介します。
ドライガーデンをつくりたい!という方、必見ですよ~
ドライガーデンって何?
ドライガーデンとは名前通り、サボテンや多肉植物のように乾燥した(ドライ)環境を好む多肉質の植物でそろえたガーデニングのことを指します。
何よりも、水やりの手間が少ないのがメリットです!
サボテンの種類
ドライガーデンの中でも特に人気なサボテンですが、どのような種類があるのでしょう。
サボテンは普通大きく3つのグループに分けられます。
②ウチワサボテン類
多肉化が進んでおり、筒形、樹木形、円盤状、棒状など、いろいろな形があります。高山の乾燥地が原産のものには、球状になったものもあります。種類がたくさんあり、生えることのできる地域も広いのが特徴です。
③ハシラ(柱)サボテン類
上の2つのグループ以外のサボテン。長い年月を経て環境に順応し、多様な形に分かれてきたと考えられています。柱状のものはもちろん、他のいろいろな球型のものも、すべて同じ系列のものなんです。
※ほかにも、「玉サボテン」「エビサボテン」「森林性柱サボテン」「葦サボテン」など、種類はたくさん分けることができます!
サボテンの性質
さて、ここからは
サボテンの具体的な性質3つと扱う際の注意点を2つご紹介!
1. 過酷な環境に自生
まず、その過酷な自生地から、サボテンの生命力と適応力の高さを実感できます!
サボテンの自生地は主に北アメリカ・南アメリカ・西インド諸島やガラパゴス諸島などの乾燥地帯です。特に高原や荒れ地に生えているものが多く、気候としては熱帯、亜熱帯、温帯圏内に集中しています。
日差しや乾燥、昼夜の温度差、砂嵐などその環境は過酷です。しかしサボテンは粘土状から石灰岩系の土、堆積物の多い土まで広範囲の土質に適応し、高度も標高0メートルから4000メートルまで広範囲に分布しているのです。
※大地に根を下ろすものから急斜面に生えるもの、地中に生えるもの、気根をつかって他の樹木に着生するものなどその育ち方も様々です。
2. 水を体に蓄える!
サボテンが日差しの強い乾燥した環境で成長し続けられるのには、理由があります。
サボテンの体内には多量の水が貯水されているのです。なんとサボテンの重さのうち96%は水分だと言われるほど!サボテンの多くは分厚くて大きな茎をもっていますが、これは茎の中の組織が発達していて、細胞の中に水を貯められるようになっているためです。この組織のおかげでサボテンは数カ月間、あるいは数年間も雨なしで生きていけるのです。
また、サボテンの根の吸水力は大きく、降った雨を一気に吸収して貯水組織に蓄えることができます。加えて、わずかな霧や露も吸収できます。ちなみに根が地下数センチの深さしかないのは、植物が使える水分は浅いところに限られるからです。砂漠に降る雨の多くは地面深くまでしみこまないのですね。

3.水を逃さない形
サボテンが一日に消費する水分は、体の1/2000~1/2500といわれており、蓄えた水を少しずつ大切に使います。その点、サボテンはその形自体が水を逃さないようにできているといっても過言ではありません。
また、サボテンが太い形をしているのは、表面積を小さくして水分の蒸発を防ぐためなのだそうです。その他、長い寿命にもかかわらず成長が遅いのも、表面積を増やさないためだと考えられています。
サボテンはその体の形によって呼吸の効率を上げ、表面積を減らすことで水を逃さないようにしているのです。
※太陽が明るく乾燥した昼はなるべく呼吸しないようにし、主に夜に呼吸するのも水を逃がさない手段の一つです。
トゲは葉!?
なんと、サボテンのトゲは葉が変化したものだということは知っていましたか?
サボテンの呼吸の効率のポイントはトゲにあるんです。
普通の植物のように葉が大きいと、そこで呼吸する際に表面から水分が失われてしまいます。そのため、サボテンは葉をトゲにして小さくし、茎で呼吸することで水分が失われるのを防いでいるのです。
扱う際の注意点
1.温度
サボテンは高温の場所にあるイメージが強いですよね。でもその一方で、サボテンは寒さにも強いのです。
なんと、サボテンは一般的に5度~40度の温度まで幅広く適応できると言われています。
それでも、寒い地域にお住いの方は冬場に気を付ける必要があります。
屋外に植栽している場合、5度以下になるようなら屋内へ移動したり、ビニールで保温したりして対策しましょう!
2.水分
水やりは植物が生きるうえでも必要不可欠です。
でも、サボテンは乾燥を好むので、水をやり過ぎると根が腐ってしまいます。
どのくらいの期間を置いてどの程度水をあげればいいのか、チェックしておきましょう。
概ね、サボテンの水やりは下の表を参考にしてもらえたらちょうどいいですよ。
意外と知らなかった、という方多いのではないでしょうか。
この期間を間違えて水をやり過ぎてしまうと、根腐れの原因となりますので注意しましょう。
サボテンの胴切りとは?
サボテンが傷んでしまったら、「胴切り」をすることが必要になってきます。胴切りとは、サボテンの茎をナイフなどで横に切り、上下で株分けする方法のことです。
1.胴切りする理由
具体的には、サボテンが根腐れしたときや、徒長した(日光が足りずひょろひょろとのびた)ときに行います。そのまま放置すると栄養が取れず、病気になり枯れてしまうこともあるそうです。
2.胴切りのメリット
傷んだ組織から元気な部分が切り離されることで再び元気に生長します。また、胴切りはサボテンを増やすために使われる方法でもあります。そのため、胴切りした元の株が健康であれば切ったところから新芽が出てきます。
加えて、一定の長さに切ることはバランスの良さにつながり、栄養を全体に届けることができるようになるのもメリット。
※行うときは、サボテンをしっかりと固定し、水平になるように切ることがポイントです!生育期である春・秋に作業をするとダメージが最低限に押さえられ、回復しやすくなりますよ。
おしゃれなドライガーデンにある植物たち!
もちろん、おしゃれなドライガーデンにサボテンは欠かせません!
その中でも、特に玉サボテン・ウチワサボテン・ハシラサボテンが今注目を浴びています。
サボテン以外では、最近はロストラータが大人気!
ダシリリオンもドライガーデンでよく見かける植物ですね。
一方、ドラセナやソテツは日本家屋とも相性が良く、安定の人気です。
※ロストラータ・ドラセナ・ソテツはすべて乾燥に強く、サボテンとも似ているようですが、ソテツはソテツ科、ロストラータとドラセナはリュウゼツラン科と全く違う種類なんです。でも、三者三様に過酷な環境に耐えられる、保水能力の高い構造を持っています。
サボテンの奥の深さを味わっていただけましたか?
これをきっかけにドライガーデンにも興味を持っていただけたら幸いです。
今年の夏は、ぜひご自宅のお庭におしゃれなドライガーデンをつくってみませんか?
長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
次回の投稿もお楽しみに🌼🌼🌼
<参考・引用>
一般社団法人 日本植物生理学会 みんなのひろば 「CAM植物の酸素放出」
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1341
光合成事典(Web版) 日本光合成学会 2015年4月公開 「CAM植物」
https://photosyn.jp/pwiki/index.php?CAM%E6%A4%8D%E7%89%A9
中部大学 堀部研究室(園芸学研究室) サボテンの秘密(形態・生理的特徴)
https://www3.chubu.ac.jp/faculty/horibe_takanori/himitu/
鳥取大学乾燥地研究センター 「きみもなろう!砂漠博士」
https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/sabaku_hakase/pdf/2003.pdf
https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/sabaku_hakase/sabaku03.html
マンションジャーナルbyカウル 「【保存版】実は枯れやすい? サボテンをキレイに育てる方法を紹介!」
https://kawlu.com/journal/2017/11/20/52872/#:~:text=%E3%82%B5%E3%83%9C%E3%83%86%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%82%B2%E6%88%90%E3%81%AB%E6%9C%80%E9%81%A9%E3%81%AA%E6%B8%A9%E5%BA%A6%E3%81%A3%E3%81%A6%EF%BC%9F,-%E5%87%BA%E5%85%B8%EF%BC%9Ahttps%3A%2F%2F&text=%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%81%AB%E3%82%82%E3%82%88%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99,%E3%81%97%E3%81%A6%E4%BF%9D%E6%B8%A9%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86%E3%80%82
Green Snap 「正しいサボテンの水やり方法!季節による頻度は?霧吹きでもいいの?」
https://greensnap.jp/article/403
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