庭園日誌をご覧の皆様、こんにちは!
スタッフの【はしもと】です。
最近はかなり冷え込みがきつくなってきましたね。突然20℃になったり10℃以下になったり気温も気圧もまったくもって安定しない日々ですが皆様はいかがお過ごしでしょうか?
……とか、そんなシーズンにこの記事を書き始めたのにもうすでに年が明けてしまいました(-_-;)(新年あけましておめでとうございます!)

先日の記事は楽しんでいただけましたでしょうか?まだ読んでらっしゃらない方はよかったらぜひ一度目を通してみてくださいね☛【樹木がなぜ重力に逆らって水分を吸い上げるのか】
最近はブログに何を書くのかを悩む日々を過ごしているのですが先日社長から興味深い話を聞きました。
「笹は初夏までは刈り込んでも芽が出るが、秋以降に強く刈り込むと芽が出なくなってしまう」
この話を聞いて不思議な現象だと思ったのと同時に秋なのに新芽?と疑問に思いました。
ということで、今回の記事では造園に欠かすことができない笹の不思議な生態を調べると同時に社長が言っていたことの謎に迫っていきたいと思います!
目次
- 竹の秋
- 竹と笹の違い
- 最後に
竹の秋
ブログを執筆するようになって、時候の挨拶を勉強するようになりました。その中で、季語についても勉強を始めました(風流でしょう!)
その中で、不思議な季語があったのでご紹介させていただきます。
「竹の秋」
なんとこの季語は春の季語なんです。
ん?竹の「秋」なのに?と思われた方もいるかもしれません(筆者はこの言葉を知らなかったので、非常に印象深い言葉でした)。なぜ竹の秋が春の季語なのか気になり調べてみたところ、竹にとっての春と秋は逆であるということがわかりました。
どういう事かというと、竹はほかの植物が新芽を付け、大きく育つ4月~5月にかけて、葉が黄色く変色し、落葉します。この様子が、秋の紅葉に似ているため、「竹の秋」と呼ばれているわけです。

本来竹は常緑樹(竹を木とするか草とするかは非常に難しい話です)なのですが、タケノコを育てる4月頃、竹は多くの栄養素をこれから育つタケノコに注ぎます。すると、竹の葉は栄養素が足りなくなり黄色く変色してしまいます。そしてタケノコが育ち切った5月~6月頃に、黄色く変色した古い葉っぱは落葉してしまうのです。
この様子は、子育て(タケノコ育て?)に疲れた親の竹が疲れて枯れていくような様子が連想されますが、実際には新芽により多くの日光を当てるために古い葉を落としているようです。竹の秋は、竹にとっては成長の季節だったということですね。
竹と笹の違い
さてさて、聡明な読者の皆様なら露骨な誘導であったことにすでにお気づきかもしれませんが、笹は竹の仲間です。
諸説ありますが、一説によると笹という言葉の語源はササダケ(細小竹)に由来するそうです。笹も竹も同じイネ科の植物で、よく似通った姿をしていますから名前の由来にも頷けますね。
ここで一つ皆さんに問題ですが竹と笹の違いをご存じですか?
この質問をすると、多くの人が大きいほうが竹で小さいほうが笹だと答える方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、2~5mの高さに育つヤダケは笹の仲間で数十cm~1m程の高さにしか育たないオカメザサは竹の仲間なのです。(~ザサとつくのに竹の仲間だったり、~ダケとつくのに笹の仲間だったりと命名した学者の事も悩ませるほど竹と笹は近縁の種類なんですね)
竹と笹の違いは①稈鞘②葉脈③成長後の枝の本数④生息地の4つにあります。(もちろん笹の方が比較的竹よりも小さい傾向にありますが、種類によっては笹のほうが大きいこともあるため今回は大きさを除外しています)
それぞれについて説明していきます!
稈鞘
稈鞘とは、タケノコの皮のことです。竹はこの稈鞘が成長に伴って剥がれ落ちますが、笹では稈鞘が剥がれ落ちずに残ります。

人知を超える竹と笹の違い、竹の花より引用
ここで笹のタケノコ…?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実はチシマザサという笹のタケノコは「根曲がり竹」という山菜として親しまれています(富山ではススタケと呼ばれるそうです)。
小さくて細いタケノコのような見た目をしており、普段食べる筍と比べると緑がかった色をしていますが柔らかくて灰汁が少ないのが特徴です。(筆者も食べてみたいと思っています!)
葉脈

理科の授業では、単子葉類物の葉脈は平行脈、双子葉類の葉脈は網状脈の特徴を持つと習ったことを覚えていませんか?(実は双子葉植物にもオオバコのように平行脈の植物がありますし、単子葉類のサトイモやサルトリイバラは網状脈の植物です。厳密には網状脈か平行脈かは単子葉類か双子葉類かで区別されるわけではないのです)
竹も笹も同じイネ科の植物です。イネ科の葉と言えば、平行脈の細長い葉です。庭の雑草を抜くときになんだかよくわからないイネ科の植物が生えていて引っこ抜くのに苦戦した経験がある読者様もいらっしゃるかもしれませんね笑。
笹と竹は非常によく似た植物でありながら、実は葉脈に違いがあるのです。笹の葉脈が平行脈であるのに対し、竹の葉脈は格子状の葉脈です。

「竹」と「笹」の違いは?より引用
余談:格子状の葉脈というのが非常に珍しいと思って様々な論文を調べたのですが、竹の葉脈がなぜ格子状なのか・格子状の葉脈にどのようなメリットがあるのかを調べてみてもわかりませんでした。ほかに格子状の葉脈を持つ植物としてはホシクサ科のイヌノヒゲやスイレン科のパラグアイオオオニバスなどがありますが、いずれも格子状の葉脈を持つメリットや共通点を見つけることはできませんでした💦。強いて言えば、イヌノヒゲやパラグアイオオオニバスは湿地の植物で、竹もまた湿潤な気候を好む植物であることが共通点に挙げられますが、格子状の葉脈に関する文献が見つからず考察を断念しました……泣(また何か面白い文献が見つかれば報告させていただきますね!)
成長後の枝の本数
竹と笹で枝の本数が異なることをご存じでしたか?(筆者は知りませんでした)

竹は節目ごとに生える枝の数が2本ずつであるのに対して、笹は3本以上枝が生えるんです。非常に細かな違いですが、前述の二つと比べるとこれはかなり分かりやすい竹と笹の違いかもしれません!
生息地
竹は比較的暖かい地域の植物です。
それに比べ笹は寒さに非常に強い植物です。
竹が生息する地域の北限は日本ですがなんと笹の北限はサハリンなのです(!)。それだけでは無く、笹は竹よりも高緯度・高標高地域での生存可能です。

笹JAPON 笹と竹の違いより引用
どうして笹が竹よりも耐寒性に優れるのかは良かったらコチラを参考にして下さいね(^_-)-☆
まとめ
竹と笹の違いについて表にまとめてみました!違いについては以下のとおりです!

こうして見ると竹と笹の違いはあるものの、やはり非常によく似た植物であることがわかりますね!
最後に
今回の記事は、かなり力を入れて書いているのですが(
次回の記事では、社長が言っていた、「笹は初夏までは刈り込んでも芽が出るが、秋以降に強く刈り込むと芽が出なくなってしまう」ことの謎に迫っていきたいと思います!それでは皆様またお会いしましょう✨
↓お庭のお手入れ・改修・設計などに関するご相談はこちらから↓
-------------------------------------------
株式会社大幸造園
TEL 075-701-5631
FAX 075-723-5717
HP https://daiko-zoen.com/
-------------------------------------------